卵子凍結をお考えの方へ
1.卵子凍結(未受精卵凍結)とは
「卵子(未受精卵)凍結」とは受精前の卵子を凍結することです。体外受精をする場合と同様に、排卵誘発剤を用いて卵巣内でいくつかの卵子を発育させ、採卵し、卵子を未受精の状態で凍結保存します。
将来の妊娠のために今できる備えをお考えの方は、以下を十分にご理解いただき慎重にご検討ください。
※当院では医学的適応(がん生殖)の卵子凍結は行っておりません。
※日本産科婦人科学会の動画説明も併せてご確認ください。
https://www.jsog.or.jp/modules/committee/index.php?content_id=302
東京都には卵子凍結に関わる費用を助成する制度があり、当院は東京都の指定登録医療機関です。東京都の定める条件に当てはまる方が対象となりますので、詳しくは東京都福祉局のHPをご確認ください。
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/shussan/ranshitouketsu/touketsu/gaiyou.html
2.卵子凍結のメリットとデメリット
下のグラフは2021年に日本産科婦人科学会が集計した日本全国の体外受精の妊娠率です。
女性は年齢の上昇に応じて妊娠率が低下し、流産率は上昇します。妊娠率は年齢に依存しているので、若い頃の卵子を凍結しておくと、時が経ち年齢が進んだ時に凍結した卵子を使用して胚移植した場合、卵子を凍結した年齢の妊娠率と流産率を維持できる可能性がメリットとなります。
デメリットとしては、採卵するためには複数回の受診が必要となり、お体に負担もかかります。費用も自由診療にて行うため高額となります。また、凍結卵子の妊娠率は新鮮卵子より低い傾向があり、卵子を凍結保存しても妊娠できる確証が得られるわけではありません。
3.卵子凍結による妊娠率
すべての卵子が妊娠に至るわけではありません。また、卵子は受精卵に比べて水分量が多いため凍結による負の影響を受けやすく、凍結及び融解時に卵子の質が低下してしまうことが懸念されます。卵子凍結が必ずしも妊娠に結びつくわけではないということも理解しておく必要があります。
卵子融解後、精子との受精に臨める率は、86-96.8%で、受精率は71-79%、着床率は17-41%、一つの卵子凍結を行った場合に、赤ちゃん誕生までたどり着く確率は4.5-12%と報告されています。(Practice Committees of the ASRM Fertil Steril. 2013)
年齢に応じ、10~20個程度の卵子を凍結しておくことが望ましいと考えられますが、採卵するには肉体的、費用的負担も少なくありません。また、年齢が高くなるにつれて、たくさんの卵子を凍結しても出生率に反映されにくくなることが分かっています。一方で、年齢が若い方は、凍結できた個数が多いほど出産できる確率は高まりますが、保存しておく期間が長くなる可能性も高くなりその分の費用も多くかかります。ご自身のライフプランをよく考えたうえで卵子凍結をご検討ください。
年齢別・凍結卵子数別の1人の赤ちゃんを得られる推定確率
凍結時年齢 | 10個 | 20個 | 30個 | 40個 |
28歳 | 80% | 94% | ||
34歳 | 75% | 91% | 95% | |
37歳 | 53% | 75% | 87% | 92% |
40歳 | 30% | 52% | 65% | 76% |
42歳 | 21% | 36% | 49% | 60% |
44歳 | 7% | 15% | 21% | 26% |
(Goldman RH, et al.Hum Reprod. 2017)
4.卵子凍結の対象年齢
日本生殖医学会のガイドラインには、
- 1)採卵時年齢:40歳以上は推奨されない
- 2)凍結保存した卵子の使用年齢:45歳以上は推奨されない
- 3)生殖年齢を過ぎた場合は、通知の上で破棄することができる
と明記されています。
*学会の推奨年齢を超えていることをご理解されたうえで、強い希望がある場合、当院では例外的に採卵は43歳の誕生日まで、凍結卵子の融解使用は50歳の誕生日まで延長いたします。
*ガイドラインの変更や、社会情勢により規定は変更となる可能性があります。5.卵子凍結のスケジュール *すべて自由(自費)診療となります
1)採卵前の検査
① 超音波検査・採血:貧血・肝機能・腎機能・糖代謝・AMH・感染症(B型肝炎、C型肝炎、梅毒、HIV)卵巣の機能、お体の状態に問題がないかを調べるために行います。*初診当日に行うことも可能です。
② 1週間後以降に採血結果の受診となります。
*オンライン診療も可能です。ピル処方の際[2)-①]に結果をあわせてご説明することも可能です。
2)採卵にむけて
① 月経開始から5日以内に受診頂き、ピル(ホルモン剤)を処方し採卵の計画を立てます。
② ピル内服後の月経より排卵誘発を開始し、卵子を複数個発育させることを目指します。卵胞(卵子を包む袋)とホルモン値の評価を行うため、超音波検査と採血を行います。卵胞がある程度の大きさになり、卵子の成熟が確認されたら採卵日を決定します。3~4回程度受診が必要となり、当日のホルモン値を評価するため、毎回2~3時間程度のお時間を頂きます。
3)採卵
① 卵巣から卵子を採取します。ご希望により麻酔を行いながら採卵をすることも可能です。採卵後は2-3時間程度リカバリールームにて安静となります。
② 採卵から1週間後以降に受診頂き、お体の状態を伺い、卵子の凍結結果を説明いたします。凍結卵子の更新手続きについてもご案内します。
4)凍結卵子の保存更新手続き
年に1回更新の手続きの為の受診が必要となります。*オンライン診療も可能です。
5)凍結卵子の融解
① 凍結した卵子による妊娠をご希望の際は来院をお願いいたします。女性は妊娠に向けた採血を行い、男性は感染症の採血や精液検査を行います。数回の受診が必要となります。
② 凍結卵子を融解し顕微授精にて受精操作を行い、胚盤胞という状態に発育した受精卵を再度凍結保存いたします。
③ 胚移植が可能な受精卵が保存できましたら、胚移植の計画を立てます。
6. 卵子凍結に関する主な診察費用(自費診療)税込み
初診 | ¥2,750 | |
再診 | ¥1,650 | |
採卵(卵子凍結) | ¥176,000 | |
多数採卵時の加算:15個以上/回 | ¥11,000 | |
静脈麻酔追加料金 | ¥55,000 | |
採卵準備・技術・機材費 (卵子が獲得できなかった場合) |
採卵準備費(排卵済の場合) | ¥16,280 |
採卵技術・機材費 (穿刺後卵子が獲得できない場合) |
¥55,000 | |
卵子凍結 ※1年間の保管料含む |
~3個 | ¥33,000 |
4個以上 凍結卵子1つあたり | ¥11,000 | |
凍結保管延長料/年 | 9個まで | ¥33,000 |
10個~15個 | ¥66,000 | |
16個以上 | ¥99,000 | |
凍結卵子融解 | 融解基本費/回 | ¥38,500 |
1個当たり | ¥3,300 |
*費用は予告なく変更する場合があります。
検査(全て税込の料金となります)
超音波検査 | ¥2,200 |
血算+肝機能+腎機能+糖代謝 | ¥1,980 |
感染症(B型肝炎・C型肝炎・梅毒・HIV) | ¥8,800 |
AMH | ¥7,700 |
卵胞刺激ホルモン(FSH)・黄体化ホルモン(LH)・HCG *1項目あたり | ¥2,200 |
エストロゲン(E2)・プロゲステロン(P4) *1項目あたり | ¥2,750 |
*費用は予告なく変更する場合があります。
7.料金シミュレーション
クリニック概要
峯レディースクリニック | |
東京都目黒区自由が丘2-10-4 ミルシェ自由が丘4F | |
東急東横線、大井町線「自由が丘駅」徒歩30秒 | |
03-5731-8161(予約制) | |
不妊症治療、不育症治療、ブライダルチェック |
受付時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日・祝 |
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8:30~ 11:30 |
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15:00~ 18:00 |
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★院長と非常勤医師の2診体制となる場合がございます。
土曜日は比較的混雑いたします。お待ちいただくこともありますのでご了承下さい。
当院は不妊・不育治療のクリニックですので、お子様同伴でのご来院はご遠慮願っております。
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